2013年02月14日
請島 大山ミヨチョン岳トレッキング
第5回 島案内人育成講座でホエールウォッチングを体験した一行。
午後からは、請島の大山(おおやま)、ミヨチョン岳トレッキングです。
目指すはこの雄大なパノラマの景色!

▲S.B.Iの動画班「iLand」さん提供
大山は、請島最高峰で標高398m。
貴重な野生動植物が多く生息、その保護のため入山申請が必要です。
必ず、瀬戸内町教育委員会(0997-72-0113)に申請したのち、
池地集落のボランティアグループ「みのり会」へ連絡・同行のうえ入山してください。
大山の代表的な植物が「ウケユリ」。
5月末~6月上旬頃、
山奥の岩場で、気品ある香りを放ち純白の花を咲かせます。
ササユリの変種で、請島や奄美大島南部に分布していますが、
最近では、請島以外では見ることが難しくなってきており、
”幻の百合”となりつつあります。
大山のウケユリ自生地は、県の天然記念物にも指定。
他にも町指定天然記念物「ウケジママルバネクワガタ」など、
数多くの貴重な動植物が存在。
それらの乱獲防止や保護のために、
池地集落の方々がボランティアグループ「みのり会」を結成し活動しています。
集落の区長・益岡さんによると、現在メンバーは6名。
この日も、みのり会のメンバーでもある益岡さん、
元区長の福島さん、民宿みなみの息子さんの3名が同行してくださいました。
ガイドは、スローガイド奄美の富岡紀三さん。

富岡さんが瀬戸内町観光協会に在職中に制作した
「山と遊ぼう。」というトレッキングマップには、
動植物が掲載されているので、そちらも参考に。
また請島にも、ハブがいるので
もちろんハブにも気をつけなければいけませんが、
ダニにも注意してくださいとのこと。
みのり会の福島さん曰く、
「ダニは自分が小さい頃はいなかった。イノシシが請島に入ってきてからダニがいるようになった。
イノシシは加計呂麻島から泳いで渡ってきたと言われてる」。
そんな大山にまつわる話や、注意点などを聞いてから、
いざ入山!です。

みのり会のみなさんが、杖を準備してくださっています。
もしもの時は、ハブの用心棒にもなりますね。

ミヨチョン岳までは、
ここから片道約40分ほどの山登りです。
みなさん予想していたより、けっこうハードな山道。
息もゼイゼイ・・・。
この日は、天気も良好。
ふつうに冬の格好だと、すぐに汗ばんできました。みんな一枚、一枚脱いでいきます。
こういう時は、洋服で温度調節できるように素材や着るものも工夫が必要ですね。
靴も、山用のトレッキングシューズがベター。

途中、富岡さんから珍しい植物などの名前を教えてもらったり。
「キイレツチトリモチ」

▲ツチトリモチ科の1年生寄生植物で、葉緑体を持たないために光合成ができず、
トベラやネズミモチなどの根に寄生。10月下旬~11月下旬中旬にかけて、
高さ3~11cm、直径約2cmの円筒形で淡黄色の花茎を出す。
「カゴメラン」

▲山地の林内に生える多年生草本。茎は直立し、高さ10~25cm。
花期は秋の終わりから冬にかけて、円錐状の穂状花序に淡黄色の花を多数つける。
挫けそうなところで、視界がパッと開けてきました!
池地集落です。「でもここで下るってことは、また登るんだよな」と、つぶやきが・・。

もうどれくらい歩いているか分からなくなります。
最後のほうも道は険しいので、気は抜けません。

そして到着ーーー!!
ちょっと霞んでいましたが、
目の前に広がる素晴らしい眺望は、がんばって登った人だけに与えられるご褒美です。

ここには大きな岩がいくつか並び、その上に立っている状態。
真下は断崖絶壁。
昔は、このミヨチョンの頂きが徳之島に向かって矢のように尖っていましたが、
大正12年の地震で崩れ落ちたそう。
この時落ちたとされる砕けた岩が、下に散らばっています。

その神々しい景色は、まさに請島の聖地。
昔は、このミヨチョンから
ノロ神が真鍮製の鉦(しょう /シマの人は”タライ”と呼んでいた)を叩きながら、
そのままカミミチを通って、ミャー(広場)に下りてきて祭りを始めたという場所。
その鉦の音は、大山の高い場所で叩いていても、
人里まで聞こえたとか。
なかなか来られないこの場所。
興奮気味で、みんな記念写真を撮ったり思い思いに過ごします。

名残惜しいですが、そろそろ帰りましょう。

帰りは、だいぶ余裕も出て瀬戸内町の情報交換。
町で近々ある番組のロケが行われるけど、
来島する芸能人は誰だ?・・なんて話で盛り上がりました。

帰りは30分ほどで到着。
おつかれさまでした!

登山口から集落までの道をほんの少し歩いて、
見晴らしのいい「夕日台」へ。
昭和38年生まれのかたが”49歳の年の祝”記念で作った展望公園です。

眺めがいいので、女子トーク。

誰も怪我することなく、無事に池地公民館へ到着。

池地公民館とクジラに関してこんなお話があります。
戦後、昭和22年に請島近くで約180頭のクジラを青年団が捕獲。
そのうち100頭以上のクジラを古仁屋、名瀬、徳之島などで販売したところ、
青年団の収入として当時として大金五万数千円に(クジラの頭一つで80円)。
売上金の使途について議論した結果、
コケラぶきの青年会館(いまの公民館のようなもの)を建設したそうです。
大工の工賃と材料で、売上の五万数千円費やしたとのこと。
その後数度の建て直しを経て、現在の公民館にいたります。
公民館からもミヨチョン岳の岩が見えました!

公民館そばには、忠魂碑が。
ここで戦没者などの慰霊祭として、旧暦9月14日前後に「招魂祭」という集落の大事な行事を開催。

昔はミヨチョン岳から集落へ降りるところにモリヤマと呼ばれるところがあり、
そこに慰霊碑が建っていたそう。その場所で相撲などの余興をしていたとか。
高齢者が山を登るのが困難なことから、
平成18年に新たにこの場所に慰霊碑を建立しました。
お世話になった池地集落の区長・益岡さん(右)と、前区長の福島さん。

もともとこの「みのり会」は、シマ(集落)のために何かできないかと集まったグループ。
公園整備や港の草刈り、年配の方の見回りや手助けなど
さまざまなことをシマのためにやっていらっしゃいます。
貴重な動植物保護するために、
大山へ同行しているのもその活動の一つ。
すべて自分たちのシマへの愛情ゆえですね。
みんなでお礼をし、請島をあとにします。

今回は、池地集落のみなさんにお世話になりました!

< 参考文献 >
・「瀬戸内町立図書館・郷土館 紀要 第2号」 『請島ノート』 町健次郎
・「池地校 創立百周年記念誌」
・「奄美 加計呂麻島のノロ祭祀」 松原武実
・「まんでぃ」 瀬戸内町役場まちづくり観光課
2013.2.7 瀬戸内町 請島 大山・池地
S.B.I (瀬戸内町 文化遺産 活用実行委員会) 広報K
鹿児島県 奄美大島 瀬戸内町立図書館・郷土館内
午後からは、請島の大山(おおやま)、ミヨチョン岳トレッキングです。
目指すはこの雄大なパノラマの景色!
▲S.B.Iの動画班「iLand」さん提供
大山は、請島最高峰で標高398m。
貴重な野生動植物が多く生息、その保護のため入山申請が必要です。
必ず、瀬戸内町教育委員会(0997-72-0113)に申請したのち、
池地集落のボランティアグループ「みのり会」へ連絡・同行のうえ入山してください。
大山の代表的な植物が「ウケユリ」。
5月末~6月上旬頃、
山奥の岩場で、気品ある香りを放ち純白の花を咲かせます。
ササユリの変種で、請島や奄美大島南部に分布していますが、
最近では、請島以外では見ることが難しくなってきており、
”幻の百合”となりつつあります。
大山のウケユリ自生地は、県の天然記念物にも指定。
他にも町指定天然記念物「ウケジママルバネクワガタ」など、
数多くの貴重な動植物が存在。
それらの乱獲防止や保護のために、
池地集落の方々がボランティアグループ「みのり会」を結成し活動しています。
集落の区長・益岡さんによると、現在メンバーは6名。
この日も、みのり会のメンバーでもある益岡さん、
元区長の福島さん、民宿みなみの息子さんの3名が同行してくださいました。
ガイドは、スローガイド奄美の富岡紀三さん。
富岡さんが瀬戸内町観光協会に在職中に制作した
「山と遊ぼう。」というトレッキングマップには、
動植物が掲載されているので、そちらも参考に。
また請島にも、ハブがいるので
もちろんハブにも気をつけなければいけませんが、
ダニにも注意してくださいとのこと。
みのり会の福島さん曰く、
「ダニは自分が小さい頃はいなかった。イノシシが請島に入ってきてからダニがいるようになった。
イノシシは加計呂麻島から泳いで渡ってきたと言われてる」。
そんな大山にまつわる話や、注意点などを聞いてから、
いざ入山!です。
みのり会のみなさんが、杖を準備してくださっています。
もしもの時は、ハブの用心棒にもなりますね。
ミヨチョン岳までは、
ここから片道約40分ほどの山登りです。
みなさん予想していたより、けっこうハードな山道。
息もゼイゼイ・・・。
この日は、天気も良好。
ふつうに冬の格好だと、すぐに汗ばんできました。みんな一枚、一枚脱いでいきます。
こういう時は、洋服で温度調節できるように素材や着るものも工夫が必要ですね。
靴も、山用のトレッキングシューズがベター。
途中、富岡さんから珍しい植物などの名前を教えてもらったり。
「キイレツチトリモチ」
▲ツチトリモチ科の1年生寄生植物で、葉緑体を持たないために光合成ができず、
トベラやネズミモチなどの根に寄生。10月下旬~11月下旬中旬にかけて、
高さ3~11cm、直径約2cmの円筒形で淡黄色の花茎を出す。
「カゴメラン」
▲山地の林内に生える多年生草本。茎は直立し、高さ10~25cm。
花期は秋の終わりから冬にかけて、円錐状の穂状花序に淡黄色の花を多数つける。
挫けそうなところで、視界がパッと開けてきました!
池地集落です。「でもここで下るってことは、また登るんだよな」と、つぶやきが・・。
もうどれくらい歩いているか分からなくなります。
最後のほうも道は険しいので、気は抜けません。
そして到着ーーー!!
ちょっと霞んでいましたが、
目の前に広がる素晴らしい眺望は、がんばって登った人だけに与えられるご褒美です。
ここには大きな岩がいくつか並び、その上に立っている状態。
真下は断崖絶壁。
昔は、このミヨチョンの頂きが徳之島に向かって矢のように尖っていましたが、
大正12年の地震で崩れ落ちたそう。
この時落ちたとされる砕けた岩が、下に散らばっています。
その神々しい景色は、まさに請島の聖地。
昔は、このミヨチョンから
ノロ神が真鍮製の鉦(しょう /シマの人は”タライ”と呼んでいた)を叩きながら、
そのままカミミチを通って、ミャー(広場)に下りてきて祭りを始めたという場所。
その鉦の音は、大山の高い場所で叩いていても、
人里まで聞こえたとか。
なかなか来られないこの場所。
興奮気味で、みんな記念写真を撮ったり思い思いに過ごします。
名残惜しいですが、そろそろ帰りましょう。
帰りは、だいぶ余裕も出て瀬戸内町の情報交換。
町で近々ある番組のロケが行われるけど、
来島する芸能人は誰だ?・・なんて話で盛り上がりました。
帰りは30分ほどで到着。
おつかれさまでした!
登山口から集落までの道をほんの少し歩いて、
見晴らしのいい「夕日台」へ。
昭和38年生まれのかたが”49歳の年の祝”記念で作った展望公園です。
眺めがいいので、女子トーク。
誰も怪我することなく、無事に池地公民館へ到着。
池地公民館とクジラに関してこんなお話があります。
戦後、昭和22年に請島近くで約180頭のクジラを青年団が捕獲。
そのうち100頭以上のクジラを古仁屋、名瀬、徳之島などで販売したところ、
青年団の収入として当時として大金五万数千円に(クジラの頭一つで80円)。
売上金の使途について議論した結果、
コケラぶきの青年会館(いまの公民館のようなもの)を建設したそうです。
大工の工賃と材料で、売上の五万数千円費やしたとのこと。
その後数度の建て直しを経て、現在の公民館にいたります。
公民館からもミヨチョン岳の岩が見えました!
公民館そばには、忠魂碑が。
ここで戦没者などの慰霊祭として、旧暦9月14日前後に「招魂祭」という集落の大事な行事を開催。
昔はミヨチョン岳から集落へ降りるところにモリヤマと呼ばれるところがあり、
そこに慰霊碑が建っていたそう。その場所で相撲などの余興をしていたとか。
高齢者が山を登るのが困難なことから、
平成18年に新たにこの場所に慰霊碑を建立しました。
お世話になった池地集落の区長・益岡さん(右)と、前区長の福島さん。
もともとこの「みのり会」は、シマ(集落)のために何かできないかと集まったグループ。
公園整備や港の草刈り、年配の方の見回りや手助けなど
さまざまなことをシマのためにやっていらっしゃいます。
貴重な動植物保護するために、
大山へ同行しているのもその活動の一つ。
すべて自分たちのシマへの愛情ゆえですね。
みんなでお礼をし、請島をあとにします。
今回は、池地集落のみなさんにお世話になりました!
< 参考文献 >
・「瀬戸内町立図書館・郷土館 紀要 第2号」 『請島ノート』 町健次郎
・「池地校 創立百周年記念誌」
・「奄美 加計呂麻島のノロ祭祀」 松原武実
・「まんでぃ」 瀬戸内町役場まちづくり観光課
2013.2.7 瀬戸内町 請島 大山・池地
S.B.I (瀬戸内町 文化遺産 活用実行委員会) 広報K
鹿児島県 奄美大島 瀬戸内町立図書館・郷土館内
Posted by ヒギャジマン プロジェクト at 11:47│Comments(0)
│請島
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